パソコン通信への回帰
まだWindows95なんてこの世になかったころ、私はパソコン通信をやっていた。
テレホーダイを利用して連日朝までチャットをしていた。
私が利用していたnifty-serveにはフォーラムというものがあった。
フォーラムは、ひとつのテーマに興味がある人が集い、そのテーマについて掲示板で議論したり、チャットをしたり、ファイルをライブラリに登録できたりする場であった。
まだダイヤルアップしかなかった当時、たくさんのフォーラムを回って掲示板を眺めて、さらにファイルをダウンロードして、、などといったことにはとてつもない時間を要するものだった。
現在のような定額料金ではなかったので、つないでいる時間が長ければ長いほど電話料金と同時にパソコン通信の利用料金もどんどんどんどんと上がっていき、毎月のように親には怒られたものだった。
そんな時代、ネットワーカー(当時はパソコン通信をする人のことをネットワーカーなどというダサい呼び方をしていた)たちが重宝するツールがあった。自動巡回ツールと呼ばれるものである。
パソコン通信に接続する前に、どのフォーラムのどの掲示板のデータをとってくるのか、どのファイルをダウンロードするのかといった情報を設定しておくと、接続〜各データのダウンロード〜切断までを一気に自動的にやってくれる。たくさんのフォーラムに参加するようになると、これなしにはまったく見きれなくなってくる。
時代はパソコン通信をインターネットに置き換え、自分でハイパーリンクをクリックしながら情報を眺めるというのがネットワークの使い方のひとつのスタイルになった。
パソコン通信を経験している私にとっては、正直ネットサーフィンというものはかなりかったるいものだ。テレビのように情報が勝手に流れてくるのが楽に決まっている。
そんなわけで、最近になってRSSなるものが登場した。更新した情報が特定のURLに掲載されるので、RSSリーダーという名前のツールを使って新しい情報を自動的に集めることができるようになった。やっとパソコン通信時代の利便性がインターネットにもやってきた。
実は単にRSSリーダーを導入してとっても便利だよ、ということが書きたかっただけだったのだが、ここまで書いていてどうも自身がインターネットにパソコン通信ほどはまっていないのではないかと思った。
ではパソコン通信とインターネットで何が違うのか、いろいろと考えをめぐらせて、ふと思った点が、私の自宅も含めた多くの家庭ではインターネットにつなぎ放題であるという点だ。パソコン通信はつなぎ放題ではないが故の希少価値が多くのネットワーカーをよりのめりこませていったのではないか。
需要と供給のバランスがパソコン通信を盛り上げていた。インターネットがここから一皮むけていくには、希少価値のある情報を提供できるかどうかにかかわってくるのではないかと思う。
で、ここまで書いていて、いよいよ思ったことがある。
だからなんだ。
以上。
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